小説

誰にも届かない52ヘルツの孤独に光は射すのか・・大絶賛の作品感想

52ヘルツのクジラたち                町田 そのこ作

2020年「読書メーター」                       第1位

2020年「王様のブランチ」Book大賞                第1位

2020年「ダ・ヴィンチ」BOOK OF THE YEAR          第4位

という、輝かしい数々の賞を受賞しているこの作品を、貴方は、もう読みましたか?

今、本屋大賞にもノミネートされたり、未来屋書店の小説大賞紀伊國屋書店の小説大賞でも、第1位を獲得しているので、店頭の目立つところに置いてあると思います。

沢山の賞を受賞したとは思えないほど、本に厚みがなく、サクッと読めそうな、ソフトカバーのこの小説。

私も、ついつい気になり手にとってみました。

読んだ後の感想としては・・・とても良いお話でした。

なんとも言えない余韻が残るのですが、あえて名前を付けるなら「希望」しかないと思います。

ここから先は、ネタバレ含む(?)かもしれませんので、先入観無く読みたい方は、読まない方が良いかも(笑)です。

あらすじ

・とある田舎に、1人の若い女性が引っ越して来ます。名前は、三島 貴湖ミシマ キコ 本当は王に胡です。表記方法わかりませんでした。申し訳ございません。)

キコはいろいろと訳ありで、人付き合いをすべて断ち切り、1人で静かに生きていこうと、大好きだった祖母が、晩年を1人で過ごしてた、古い家に越して来たのでした。

・しかし、そこは田舎町、キコの存在は、村の人々の好奇の的になってしまいます。

・そんなある日、キコは口の聞けない、1人の少年に出会います。

・まだ子供のその子の体には、無数の虐待痕があり、キコはかつて実の母親と義父から、酷い虐待を受けて育った、自分と重ねます。

52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。

たくさんの仲間がいるはずなのに、何も届かない、何も届けられない。

そのため、世界で一番孤独だと言われている。

かつて、誰にも届かない鳴き声をあげ続けていたキコは、目の前の声なき声を上げている少年を、孤独から救おうと決意するのでした・・・。

感想と自分語り

正直、あらすじで虐待の話、と見た時は、「最近、そういう話が多いな・・・」と思ってしまいました。

とは言え、私がそんなに何冊も、小説を読み漁った上で、言っている訳では、ないので偉そうなことはいえないのですが・・・。

ただ、心の闇にフォーカスしすぎず、虐待する側もされる側も、そこまで、複雑に描いてない感じが読みやすくて良かったです。

とは言え、もちろん、虐待の傷が蔑ろにされている訳ではありません。

良い意味で、丁度良い描かれ方のお話だと感じました。

私は、親に酷い虐待を受けたこともないし、死にたくなるほどのイジメを受けていた、とかもありません。社会に出てからも、周囲の人に、手酷く扱われたことは殆どないです。

本当に恵まれています・・。

そんな私には、キコの親友である、美晴(みはる)のこの言葉が響ました。

「私は恵まれていたんだなあって思う。母以外にも、たくさんの良い人に恵まれていたから、今こうして笑って生きていられる。だからさ、せめて私もいい人になりたいな。この子が大人になった時に笑って生きていられるための、いい人になりたい」

この物語には、いい人が沢山登場しましす。

もちろん、キコや、少年を追い詰める、心の荒んだ人も沢山いますが・・・。

そして、私は、私も美晴やキコのように、誰かのために、しかも見ず知らずだった他人のために、いい人でいれるのだろうか・・・と、自問自答するのです。

誰もが、物語を読む時、自分と重ねて考えてしまうものだと思います。

だからこそ、最後に希望が見える話を人は好むのでしょうね。

まとめ

2020年の初版から、絶賛されている話題作、52ヘルツのクジラたちをレビューさせて

いただきました。

この作品の魅力は、

  1. ページ数がそんなに多くなく、サクッと読める。
  2. 重いテーマを扱っているわりに、暗くなりすぎない。
  3. 52ヘルツの孤独なクジラ、というテーマの扱い方が上手。
  4. 数々の「上手くいかなっかたこと」の先に射す光に心が救われる気持ちになる。

等々、読んだ人の数だけ、いろいろな思いを持つと思います。

あと、個人的には、舞台が夏なのが、良かったです(笑)

あまり、賛同してくれる方がいませんが、私は、夏が大好きなので・・。

むせかえるような、夏の匂いを濃くする夕立の雨や、夏の縁側に座ってアイスを食べる幸せ。

どこまでも、青くて広い空に、立ち登る入道雲。

大海原に浮かぶ、一頭のクジラ。

そんな情景が思い浮かぶ先品です。

是非ご一読ください。

*この作品は、2021年4月15日、本屋大賞受賞しました !!

おめでとうございます∩^ω^∩

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